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2012年08月13日 (月) | 編集 |
本日、2012年8月12日に川越市内の“小さな診療所”の小川正時医師のお別れ会が執り行われました

“小さな診療所”と書きましたが、ここを拠点に、人間の尊厳を重視した新しい地域医療・保健・福祉の地域づくりを構想し、実践のネットワークをつなげ、“遠大な夢の実現”をすすめてきた、勇気ある62歳の医師とのお別れ会でした。
お別れ会で、参会者の方々へ「365日、医療・保健・福祉、そして人びとと」の一冊が配られました。
この本が書かれたプロセスの一端をここに紹介し、ご冥福を祈ります。

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30年ほど前、小川医師は突然私の研究室に来られ、“僕は医師ですが、病人が少なくなり、診療所に来る人が少ない世の中が良いと思っています。
そうなるためには食事が大事だと考えるようになりました。
この本(私の「食生活論」医歯薬出版社刊)に書いてあるような考え方が多くの人に広まると、よくなると思います。
いっしょに・・・”医療関係者や福祉関係者を含む専門家養成に食事や食生活のことを入れたい、そのための研修センターを作りたいので構想を作ってほしい、というお申し出でした。

私が女子栄養大学を退職する年に、自身が理事長を務められる社会福祉法人健友会みなみかぜ(谷口友子施設長)の地域交流センターの一角に「(食の)研修センター」を建築されました。
現在は施設内の職員研修や地域住民の食生活学習に加え、JICAの外国人エンパワーメント研修や食からの国際協力に出発する若手日本人の研修等にも活用しています。
ここでの実践と研究の実績を活かす形で、今年4月から、みなみかぜ「食のセンター」(針谷順子センター長)の新システムが始まっています。

こうした信頼関係で、10歳以上年上の私は小川医師に、僭越ながら“小さな診療所”発“遠大な地域医療・保健・福祉”について夢とその実現を共にする仲間(専門家も地域住民のみんなも)が、それぞれに繰り返し読めるような“1冊の本”を著作することを勧めてきましたが、なかなか具体化できないでいました。

昨年秋のある日、すでに癌が肺や脳に転移し、あらゆる治療法を駆使しても増殖を続けてしまう中、朝早く“本に書いておきたい”と電話をいただきました。
“わかりました。遺稿集でなく「小川正時の本」ですよ。著者は小川正時ですよ”と申し上げました。早速群羊社の藤原真昭社長にご相談したところ、“最優先でやりましょう”と快諾してくださいました。
藤原社長はNPO法人食生態学実践フォーラムの理事会やその総会基調講演等で小川医師の“夢”に感動し、陰ながら尊敬申し上げているのでありがたい仕事です、といってくださいました。
小川医師は「共食手帳」(群羊社刊)の著者としてもよい役割を果たしてくださっていましたから。

小川医師が法人内外で書かれ原稿や写真などを段ボール箱と旅行用バックでお預かりし、体調のよろしい時に藤原社長・平山裕美制作部長・足立の3人コンビで診療所等にお伺いし、インタビューもさせていただき、その内容を軸にして3人が分担で仕上げていくフルスピードの編集作業でした。
ご自身が医師の立場で「5月31日発行」を指定されていたからです。

癌研有明病院の病室でお会いした時は、体調が良い日で、第一編の原稿がほぼ出来上がった日でした。
小川医師自身が車いすで一階売店から飲み物を買ってきてくださり、ベットを椅子にして4人で乾杯をしたことが思い出されます。お天気の良い日でした。
編集開始当初は“はじめに”のはじめだけでも書き下ろしていただきたいと願いましたが、ついに第一編の全文を書きおろしてくださり、第二編、第三編全文の校正をしてくださり、“あとがき”も書いてくださいました。
そして(遺稿集にはしない、と約束したのに)最後に、“そんな「健康」な社会の実現を夢見て、しばしの眠りに入りまーす”と。

タイトルは何回も書き直して、初心にもどり「365日、医療・保健・福祉、そして人びとと」になりました。
表紙の写真は健友会の健康祭りで、“お年寄りによりそった”小川正時医師です。この年はNPO法人食生態学実践フォーラムで「3・1・2弁当箱法」のキャラクターメジャコンが誕生し、その歌(日本語と英語版)のDVDを作って、全国各地の学習会で、メジャコンのTシャツを着て活動をした時です。
小川医師も法人スタッフと同じメジャコンTシャツ姿です。

ひとりでも多くの方々に読んでいただき、これからの地域医療・保健・福祉をどう作り出していくかについて、考え合うたたき台にしていただきたいと、願います。

この本が出版された後に、”遠大な夢“を具体化し、その実現可能性や有用性を検討する研究事業「 地域高齢者それぞれの健康・ライフスタイル・生きがいを重視した、食からの地域包括支援のあり方に関する研究事業」が平成24年度厚生労働省老人保健健康増進等事業補助事業として採択されました。
今、事業計画に沿って関係者の全力投球活動が始まっていることを申し添えます。
多くの方々に感謝申し上げます。

小川先生





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