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2015年07月06日 (月) | 編集 |
6月9日のブログで速報を出しましたとおり、待望の「食育ガイド」英語版が平成26年度「食育白書」と共に内閣府から公表されました。

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食育推進基本計画について、国民・生活者の視点から作成された「食育ガイド」日本語版が2012年に公表された直後から、英語版も欲しいと国内外から希望が寄せられていました。
私は待ちきれずに、個人的に英語訳をすすめて、一部外国人への講演や国際栄養の研修等で使っていたこともあって、今回の英語訳制作に深く関わらせてい頂いた経緯があります。

英語表現についてアメリカ生まれ、文化人類学を専攻し、東京国際大学名誉教授(英語学)のBarry Duell先生に大変ていねいなネイテブチェックをいただきました。
ドウエル先生とは1991年に「6つの知恵を生かそう 埼玉県食生活指針」の英語版作成や、2011年に「さかな丸ごと探検ノート」(足立己幸編著・竹内昌昭著、東京水産振興会発行)の英語版“The ABC’s of Fish, A Holistic View”共訳にあたって、食生態学の目的や方法論を含めて、かなり議論をしてきました。
日本人とアメリカ等英語圏の人びとの食へのセンス・イメージや考え方の微妙な差異等も具体的にお教えていただいていますので、今回も“名コンビ”で、全文英語訳が出来たことを感謝しています。

「食育ガイド」英語版の公的な作成はかなり難題だったと聞いています。
理由は多々ありましょうが、次の2点があげられます。

①「英語版は外国人向けなので、日本で仕事をしている自分には関係ない。特に必要ない」という誤解。個人レベルだけでなく、組織や行政レベルでも、この傾向がある。

②「食育ガイド」日本語版は食についても教育・活動についても、新規性の高い概念や方法論を取り入れている。
しかし残念なことに、まだその概念等が充分に吟味されておらず、公的なコンセンサスが得られていない部分が少なくない。
したがって、英語の適否を検討する前に、日本語としての内容検討が必要である場合が少なくない。
例えば、「食育基本法」前文で多数回使用している「食」、「食育ガイド」の全体を俯瞰している「食育の環」がその代表的な例。

特に②については、第3次食育推進基本計画策定を目前にしていることや、2016年度から食育推進室が現在の内閣府から農水省へ移転すること等食育の大きな節目を迎えるにあたって、充分に議論して、理論的な整理をしなければならないと思います。
「食」の循環全体と、それを構成するパーツの各特徴や「食」全体の中での位置づけや役割等について、明確にされないまま、前に進むことはできないと心配をしています。

前記①については、6月20日に開催された内閣府の「食育ボランア表彰」式で、選考委員長としての講評の中で、こんな話をしました。
「……前略……これから、東京オリンピック・パラリンピックの開催等をチャンスに、日本発、日本育ちの“Shokuiku”の環を国内外に広げてゆく、重要な時期に入ります。先月末に内閣府が公表した「食育ガイド」英語版はその有用なツールになるでしょう。新しい前進へ、本日表彰されたみなさんや仲間たちが積極的に食育力を発揮されることを期待いたします」と。
同席の有村国務大臣が強い関心を示され、後日、内閣府の担当者が英語版を持参し、説明を申し上げたとのことでした。
国内でも英語で話したい人、異文化に興味を持つ人、(食育には関心が無くても)食に関心がある人等、今までは食育の世界に縁遠かった多くの人びとを、新しい「食育の環」につないでくれる、「食育ガイド」と英語版のように、思います。

幸い、ドウエル先生の協力も得ることができるので、「『食育ガイド』英語版の深読みや活用のワークショップ」を企画しています。
詳しくはNPO法人食生態学実践フォーラムのホームページへ。