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2011年05月17日 (火) | 編集 |
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東日本大震災・福島原発とそれらの連鎖が、全国中へ世界中へと“激震”する中、様々な思いで多忙な毎日をお過ごしのことと存じます。

このような時期に、“人間と食物と環境とのかかわり”の深さ・広さ・その循環性について、魚を例に、食の原点から学び、考え、工夫し、実践できる力を育むことをねらった「さかな丸ごと探検ノート」(魚からの食育教材、ワークブックタイプ)の出版となりました。
小さな1冊ですが、次のようなプロセスで検討を重ねてきた内容と表現法です。

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「さかな丸ごと探検ノート」は…
さかなは人間にとって、とりわけ海に囲まれている日本人にとって、大事な食物であることを多くの人は知っています。でも最近は、さかな料理をきらい、食べない、つくらないなどの人がふえ、さかなばなれが進み、漁業も以前のような活気がなくなってきています。
多くの人が心配する中で、わたしたち研究プロジェクトは、日本人にとって、さかなはどんなよさがあるのかを、健康、食生活や環境づくりの面から明らかにする研究「日常的な水産物の摂食とその効果に関する食生態学的研究」(財団法人東京水産振興会事業)を進めてきました。その結果、さかなにはたくさんのよさ・効果があることが明らかになりました。一人でも多くの人にこのことを伝えたい、特にどんどん成長して、これから社会の重要な仕事についていく子どもたちに伝えたい、さらに多くの人びとといっしょになって、さかなのよさをいかした食生活ができるような社会・環境をつくっていきたい、と希望して「さかな丸ごと食育」研究プロジェクトを続けてきました。
この探検ノートは、こうした研究の結果をいかし、正しい情報、効果的で楽しい進め方を多くの人と交換し、高めあっていくためにつくったものです。ぜひ活用して、さかなのよさを、家族、友だち、地域の人たちに伝えていってほしいと思います。
(あとがきより)
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実は編集が終了し、印刷開始直前に3月11日の大震災が起きました。急遽、「探検ノート」の総論にあたる2~3ページの“さかなと人間と環境の循環図”のそばに、次の文章の●部分を加筆しました。

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森から流れる川、たくさんの川が注ぎこむ海で力強く生きているさかなたちは、下の図のように、漁獲され、陸に上げられ、人間たちの食物になるために、いろいろなところへ運ばれていきます。そして、食事として食べられ、人間の生きる力、働く力となって、次の活動に役立っていきます。
さかなたちの海から人間の食卓、そしてからだの中、次の生きる力までの旅は、さかなの種類、住んでいる場所、季節、人間たちの生活や食べ方、そして環境によって異なります。
このようにさかなと人間と環境の関わり方を全体としてとらえる見方、考え方を「さかなと人間と環境の循環図」といいます。
●2011年3月11日の午後、美しい海であり、おいしいさかながたくさんとれる東日本の沿岸域に、マグニチュード9.0、津波の最高水位約40メートルという大震災が起こりました。図の左下の海がそう変わったとしたら、この循環図はどうなるでしょう。いつもとはちがうきびしい、悲しい循環が回って、食卓までを変えていくことがわかります。身近な人の住んでいる地域や、ニュースで見た被災地のようすを当てはめて、循環図をたどってみましょう。
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この「探検ノートは子どもから高齢者までの全世代の人びとが共有できるようにと、小学校高学年生に呼びかける形態にしました。子どもたちから家族へ、仲間へ、地域へと世代を超えた多くの人によって“人間らしい食と、それが可能な社会・環境”の実現を求めて探検の輪が広がることを期待しています。

一方、「探検ノート」を使った探検の輪が広がるように「さかな丸ごと食育サポーター」養成・学習システムを準備しました。サポーターに「子ども(または生活者、または生産者)サポーター」、この人々に学習の場をつくる「養成講師」、質の高い養成講師のために研修の場を提供する「専門講師」の3種で、それぞれが学習・研修プログラムをマスターして認証されるシステムです。サポーターはいきいきした魚を描いた“認証バッチ”を得て、それぞれの生活や活動をすすめることができます。

人々の健康や生活の質(QOL)と環境の質(QOE)のより良い“共生”をめざす、新しい食育のシンボルの一つとして「さかな丸ごと探検ノート」が一人でも多くの人々に届き、活用されるように、また3.11大震災からの復興へも役立つように、活用・推薦をお願い申し上げます。


2011.5.13
著者を代表して  足立 己幸(NPO法人食生態学実践フォーラム理事長、名古屋学芸大学健康・栄養研究所長)


詳しくは下記にお問い合わせください。
*全体的なこと:財団法人 東京水産振興会 
 〒104-0055 東京都中央区豊海町5番地9号 電話03-3533-8111 Fax03-3533-8116
*内容や活用法:「さかな丸ごと食育
 研究プロジェクト代表 足立己幸 adachi3@aol.com
*サポーター養成:NPO法人食生態学実践フォーラム forum0314@angel.ocn.ne.jp